第65章

榎田神也は弾かれたように立ち上がると、その長い脚で階段を駆け下りた。二階の踊り場を鋭角に曲がり、目的の部屋へと急ぐ。

ドンドンドン。

乱暴に扉を叩く音が響いた。

ドアが開くと、そこには濡れた髪を肌に張り付かせた篠崎アエミが立っていた。その姿は艶めかしく、見る者の心をかき乱す。

彼女は目の前の人物を見て一瞬呆気にとられたが、すぐに眉をひそめた。

「こんな夜更けに何なの!」

「祖父さんが入院した!」

「着替えてくるわ!」

十分後、車は夜の道路を疾走していた。

篠崎アエミは不安げな表情を浮かべる。

「お祖父様はずっとお元気だったのに、どうして急に入院なんて……」

「ショックを...

ログインして続きを読む