第68章

二人の老人が、またしても曾孫の話で盛り上がり始めた。

篠崎アエミは苦笑しながら口を開く。

「榎田さんがまだ降りてこないので、様子を見てきますね」

そう言うと、逃げるように階段を駆け上がった。

階下からは、二人の楽しげな笑い声が聞こえてくる。

その声を背に、篠崎アエミは足早に部屋へと向かった。扉を開けると、浴室から激しい水音が響いている。

「アエミか!」

中から男の声がした。

篠崎アエミは不審そうに尋ねる。

「どうかしましたか?」

「着替えとバスタオルを持って来い!」

相変わらずの命令口調だ。

篠崎アエミは無言で着替えとバスタオルを見繕うと、ドアの隙間から中へ放り込んだ...

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