第69章

ドサッ!

鈍く重い音が響き、体が床に叩きつけられる。

その場にいた全員が、呆然と目を見開いた。

なんてことだ。

彼らが目撃したのは、榎田神也の懐へ倒れ込もうとした鈴木芽衣と、それをあろうことか避けた榎田神也の姿だった。

無様に床へ転がった鈴木芽衣は、信じられないといった表情で目を大きく見開く。

「神也!」

「さっさと立て。床が冷えるぞ」

冷淡な言葉を投げ捨てただけで、彼は視線すら向けない。

榎田神也は腕の中の篠崎アエミをきつく抱きしめ、必死に扇子で風を送っていた。

救護スタッフが状況を見て、声を上げる。

「呼吸の妨げになります。マスクを外しましょう!」

「……」

榎...

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