第94章

一時間後、食卓には所狭しと御馳走が並べられた。

篠崎アエミは祖母の向かいに座ろうとしたが、当の祖母によって強引に榎田神也の目の前へと追いやられてしまった。

「お腹いっぱいになったら、部屋に戻って昼寝でもしておいで」

その言葉にアエミは一瞬呆気にとられ、拒絶の言葉が喉元まで出かけた。しかし、祖母の熱烈な視線を前にしては、結局笑顔で頷くしかなかった。

ついさっき喧嘩したばかりの二人が同じベッドで寝るなど、気まずいことこの上ない。

食事の味など分かろうはずもなかった。

祖母は食卓の空気を和ませようと必死で、神也に料理を取り分けたり、アエミに勧めたりと甲斐甲斐しく世話を焼いている。

そ...

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