第95章

しかし……。

ぐっすりと眠るその寝顔を見て、榎田神也はさすがにこれ以上いじめるのは忍びないと思い直した。彼は彼女の体を簡単にシャワーで流すと、丁寧に拭き上げ、ベッドへと運んだ。

篠崎アエミは瞳を閉じていたが、周囲の状況はすべて把握していた。ただ、あえて拒むこともしなかった。ふかふかのベッドに戻されると、彼女は寝返りを打ち、今度こそ深い眠りへと落ちていった。

次に目が覚めたとき、窓の外はすでに薄暗くなっていた。

スマホを手に取ると、信じられないほどの不在着信が残されている。

「しまった……」

篠崎アエミは弾かれたように起き上がり、電話をかけ直しながらウォークインクローゼットへと急い...

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