第21章 殴られる

「余計なことを言うな」藤原羽里は手を伸ばして、葉田知世の針を刺していない方の腕を布団の中に押し込んだ。

「用がなければ出て行け」

「いや、そんな使い捨てはダメだろう。本気なら、このお嬢さんに他に問題がないか、子供を産めるかどうか、診てあげないと...」言い終わる前に、田村健は医療キットもろとも部屋の外に放り出されていた。

「針を抜かないといけないんだぞ!」彼は見苦しく扉を叩いた。

「自分でやる」藤原羽里の声が遠くから聞こえてきた。

「ちっ、薄情な男だな」田村健は固く閉ざされたドアを見ながら、ぶつぶつ言いながら立ち去った。車に乗るとすぐに、平原青に電話をかけた。

「藤原羽里がついに...

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