第46章

「葉田知世、玄関のセキュリティカメラを飾りだと思っているのか?」

藤原羽里は葉田知世に怒り心頭で、彼女の顎を掴み、無理やり自分の目を見るよう強いた。彼女の目に宿る涙の欠片に、彼の呼吸が一瞬止まり、指の力も少し緩んだ。

「え?」葉田知世は一瞬何を言われているのか理解できず、しばらくしてようやく彼の意図を悟った。

「わざとカメラの前で自分を傷つけて同情を引こうとしたわけじゃないの。ただあなたの怒りを鎮めたくて……」葉田知世は説明しようとしたが、力なく目を伏せた。「もういいわ。どうせ何を言っても信じてくれないでしょう」

普段はハッキリとした彼女が、珍しく屈服したような表情を見せ、藤原羽里は...

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