第48章

これは藤原羽里がずっと深く考えることを避けてきた問題だった。

彼は若い頃、幼なじみの天空橋蘭に心惹かれたことがあった。天空橋蘭は優しく親切で、落ち着いた振る舞いができる女性だった。彼はずっと、妻にするならこんな女性がいいと思っていた。

しかしその後、天空橋蘭は海外に嫁ぎ、彼は葉田雲子と婚約することになった。

天空橋蘭にしても葉田雲子にしても、彼の認識の中での「あるべき女性像」だった。優しく思いやりがあり、まるでヒルガオのように彼に寄り添う存在。

だが葉田知世は違っていた。彼女は野生のバラのようで、美しくとげがあり、その性格も善悪の境界を行き来し、飼いならすことが難しかった。

彼は自...

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