第14話

まもなく、マルティナはベンジャミンによって車から引きずり出された。

すでに深夜二時を回っていたが、ウォーカー家の屋敷はまだ煌々と明かりが灯っており、まるで誰も眠っていないかのようだった。

その光景を見て、マルティナは思わず失笑した。彼女が出て行ったことがそれほど嬉しくて、徹夜で祝杯でもあげているのだろうか? それとも、ここ数日ずっとこうだったのか?

自分の出奔は、そこまで祝う価値のあることだったのだろうか。

ベンジャミンはマルティナの手を引き、屋敷の玄関へと向かった。そこには多くの人々が集まっていた。

最前列には執事の隣に立つベンジャミンの母親の姿があった。

そしてその中央には、もう一人の...

ログインして続きを読む