第180話

アダムの指示の下、ボディガードたちは瞬く間にマルティナとエレナを取り囲んだ。

奇妙なことに、マルティナは身じろぎひとつせず、まるでこの事態を最初から予期していたかのようだった。

アダムは内心、首をかしげずにはいられなかった。一体どういうことだ? これほどまでに自信満々でいられるのは、何か勝算があるからなのか?

ボディガードたちがまさに動こうとしたその瞬間、エレナが叫んだ。「レスリー、今よ!」

次の瞬間、レスリーが姿を現した。彼は近くの男子トイレから出てくると、何気ない様子で手の水滴を払った。驚くべきことに、その仕草は妙に様になっていた。ベンジャミンのような圧倒的なカリスマ性には及ばない...

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