第182話

アダムは蹴られた場所をさすりながら、力なく地面にへたり込み、しばらくの間、身動き一つとれずにいた。しかし、その視線だけはベンジャミンに釘付けになっていた。

表情や滲み出る感情が如実に物語っている通り、その胸中は激しい怒りで煮えくり返っていたに違いない。

もしベンジャミンの地位と実力がこれほどでなければ、アダムはずっと前に反撃に出ていただろう。だが、喧嘩では勝ち目がないと悟っているため、彼はぐっと堪えるしかなかった。せいぜい恨みを抱くのが関の山で、それを行動に移すことなどできはしないのだ。

遠くからは、依然としてエイミーの助けを求める声と必死の懇願が聞こえてくる。胸が張り裂けんばかりのその...

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