第210話

レストランに到着すると、専属のウェイターが予約していた個室へと彼らを案内した。席に着くや否や、次々と料理がテーブルに運ばれてくる。

マルティナは中央に座るジャックの左側に腰を下ろした。一方、ジャックの右側に座ったベンジャミンは、どこか哀愁を漂わせ、自分はここにいる必要がないのではないかという居心地の悪さを感じていた。

何度か会話に加わろうと口を開きかけたが、マルティナとジャックに完全に無視されるばかりだった。結局、彼は黙ってその場に座っているしかなかった。まあ、こうして同席できるだけでもよしとしよう、これ以上は望むまい、と彼は自分に言い聞かせた。

食事が進む中、ようやくジャックの方からベ...

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