第23話

参加者の数も多く、会場が五つ星ホテルということもあり、全員に正装が求められていた。男性はスーツ、女性はフォーマルなドレスを着用しなければならない。大切な恩師の晴れ舞台ということもあり、マルティナも当然ながら身だしなみにはいつも以上に気を配っていた。

しばらく準備に追われ、ようやく支度が整った。

午後七時頃、マルティナの元に恩師のブリッジ先生から電話が入る。

その時すでに、マルティナとエレナはホテルへ向かう車中にあった。

マルティナは微笑んで言った。「心配なさらないでください。他のことは忘れても、先生のお誕生日だけは忘れたりしませんから。今向かっているところで、あと十分ほどで到着します」

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