第245話

それから一年が経ったある日のこと。マルティナとベンジャミンは、結婚証明書を受け取るために朝早くから起き出した。

ベンジャミンは、ようやく手に入れた二冊の冊子を両手でしっかりと握りしめ、片時も手放そうとしなかった。

マルティナがどんなに奪い取ろうとしても、ベンジャミンは頑として渡さず、まるで宝物のように厳重に守っていた。証明書さえ持っていれば、二人の関係が保証されるとでも思っているかのような振る舞いだった。

マルティナは、ベンジャミンのそんな独占欲の強さに思わず吹き出してしまった。「そんなに緊張する必要あるの? たかが結婚証明書じゃない。それに、もう手に入れたのよ。私が逃げ出すとでも思って...

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