第38話

レスリーが到着すると、サイモンは急いで出迎えた。レスリーの身なりからは、彼がただ者ではないことが見て取れた。

「レスリー、状況はどうだ?」

サイモンは待ちきれずに尋ねた。レスリーがもたらす情報は、彼らにとって重大な影響を及ぼすからだ。

レスリーは首を横に振ったが、口を開く前に書斎からベンジャミンの不機嫌そうな声が聞こえ、慌てて中へと入っていった。

書斎の中では、ベンジャミンが夜の闇に溶け込んでいるかのようだった。薄暗い照明が、彼の威圧感をさらに際立たせている。その一瞥だけで、数え切れないほどの人々を震え上がらせてきた男だ。ましてや、その怒りを目の当たりにした者など言うまでもない。

「...

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