第40話

アンゼ郡を離れてからというもの、マルティナは自分がどこへ向かえばいいのか、本当の意味でわからなくなっていた。どこへ行っても、常に身の危険を感じずにはいられなかったのだ。

しかし、彼女は知らなかった。あの姉妹が住む農家を去った直後、ベンジャミンの部下たちがその扉を叩いていたことを。

しかも、まるでテレパシーでも通じたかのように、率先して部下を引き連れてきたのはレスリーだった。彼はマルティナの写真を見せ、その行方を尋ねて回っていたのだ。「すみません、お嬢さん方。この写真の女性を見かけませんでしたか? 何か手がかりをいただければ、望むものは何でも差し上げますよ!」

悪人には見えないが、決して善...

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