第97話

エリザベスは即座に態度を改め、目的を達成するためならどんな手段も厭わない構えを見せた。「あなた、そういうつもりで言ったんじゃないのよ。ただ、あの子があなたの愛情にあぐらをかいて、つけあがっているんじゃないかと思っただけ」

実のところ、エリザベスはずっとそう考えていたが、これまではその思いを胸の内に秘めていた。しかし、彼女は今、真に迫る危機感を感じており、これ以上黙っていられなくなったのだ。

彼女は、息子が少しは動揺を見せるだろうと踏んでいた。ところが、ベンジャミンは平然としたままだ。

「僕の愛のせいでつけあがる? それはいいことだ」

少なくともそれは、マルティナの心にまだ彼への執着がわ...

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