第6章

【ケール視点】

 王都でも指折りのラグジュアリーな執務区画。その真ん中で、俺は情報部が今しがた差し押さえた密書の束を、指が白くなるほど握り締めていた。

 ウィラーが北部辺境へ送った密信だ。

 この三年、黒豹一族の最上級の資源を注ぎ込み、彼女を王城の「第一夫人」の座にまで押し上げた。

 穏やかで清らかな高嶺の花。発情期の俺を鎮めるためなら傷を負うことも厭わない恩人――そう信じていた。

 だが、つい半刻前。保安局が彼女の私用通信ラインを解読した。

 中身はすべて、同盟の防衛線の機密を「血魔族」に売り渡していた動かぬ証拠だった。

 俺はそのまま、ウィラーの住む「銀月荘園」へ車を飛ばし...

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