第7章
数か月後、冬堡は極夜に呑まれた。
中央指揮塔の監視スクリーンの前に立ち、吹雪の向こうに揺れる影を見つめる。背は高い。だがどこか、以前よりも肩が落ちて見えた。
「将軍、あれは前・黒豹族の首領、ケールです」
副官である白狼族の若君、エモンが熱いコーヒーを差し出してくる。声には隠しもしない嘲りが混じっていた。
「首領の肩書きを捨てて、たった一人で『死の荒原』を越えてきました。さっき隔離壁の外で、うちの衛兵が止めたところです」
スクリーンの中では、吹雪がケールを今にも吞み込みそうだった。拡声器越しに、国境衛兵の薄笑いが届く。
「黒豹族の首領さまが、うちの将軍にお目通り? 場所をお...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
縮小
拡大
