第9章

 胸焼けがするような、この声。

 私はゆっくりと振り返る。

 そこにいたのは、ヴァレリーだった。

 だが、今日の彼女の装いは、祭壇崖であの惨めな姿を晒したときとはまるで別人だ。

 細かな竜鱗を編み込んだ豪奢なドレスに身を包み、首には極上の深海龍珠の長い連なりが輝いている。

 何よりも吐き気をもよおすのは、彼女の全身から骨竜特有の湿った冷気が漂っていることだった。

 どうやら、完全にケインと結託したらしい。

 ヴァレリーは泥を踏まないよう精巧なブーツの爪先で歩き、瓦礫の縁に立つと、隠そうともしない愉悦の表情を浮かべた。

「あたし、やっとわかったの」

 首飾りの龍珠を撫でながら...

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