第158章 我々には一つの道しかない

西園寺昴は打ちのめされたように、呆然と白石凛を見つめた。

「凛、君は……」

「これだけ時間が経っても、あなたはまだ分かっていないのね。もう愛してないの。それは他の誰かのせいじゃない。あなたに対して、愛を感じなくなったからよ。今こうしている間も、あなたがいくら愛を語ろうと、私の心は少しも動かない。それどころか、吐き気さえ覚えるわ」

白石凛は数歩、後ずさる。

「入りましょう。私たちには、もうこの道しかないのだから」

そう言い残し、彼女は背を向けた。

その時、数歩先に立つ黒木蓮の姿が目に入った。

漆黒のトレンチコートを纏った男の眼差しは深く、まるで希代の至宝を見つめるかのように、彼女...

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