第161章 ディレクターになれとは言っていない

西園寺家の醜聞は留まるところを知らず、加えて西園寺昴と白石凛の離婚劇までが明るみに出たことで、株価は暴落の一途を辿っていた。たった数日の間に、億単位の時価総額が蒸発したのである。

西園寺家の祖父は憤激のあまり、三日も床に伏せっていた。

昴もまた、対応に追われて疲弊しきっていた。以前は協力的だった株主たちも、今や蜘蛛の子を散らすように彼を避けて回っている。

西園寺家全体が、疑心暗鬼と不安に包まれていた。

本来、昴は取引先との会食を予定していたが、祖父からの急な呼び出しを受け、実家へ戻ることを余儀なくされた。

彼が祖父の書斎へ直行すると、ドアの前には成田ミンが怯えた様子で立っていた。そ...

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