第167章 黒木蓮の消失

部外者である白石凛にとって、この場はあまりに重すぎた。

悲しみの淵に沈む黒木家の人々を前にしては、どんな慰めの言葉も空虚に響くだけだろう。

彼女はただ沈黙を守り、黒木夫人に寄り添い続けた。食事が運ばれてくる時間になり、ようやく凛は重い腰を上げて階下へと向かった。

その時、アンナから電話がかかってきた。彼女もニュースを見たのだろう。

「凛、もう病院? 会社に行ってもいなかったからさ。……黒木家の人たち、どう?」

アンナは黒木家とは面識がない。だが、凛と黒木蓮の関係をずっと見守ってきた彼女にとっても、他人事ではないのだろう。

共感性の高い凛のことだ、さぞ心を痛めているに違いないと案じ...

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