第170章 彼女は彼を守った

白石凛と黒木蓮が病院に到着した時、金安秋奈の情緒は幾分落ち着きを取り戻しているようだった。

それとは対照的に、黒木の母は尋常ではない焦燥感を漂わせ、息子の手を強く握りしめていた。

「蓮、どこに行っていたの? 母さん、心配で死にそうだったわ」

「母さん」

黒木蓮はわずかに身を屈め、母の肩を支えるようにして低く答えた。

「少し外の空気を吸っていただけだよ。心配かけてごめん」

「次はこんなふうに電話を切らないで。母さんにはもう、あなたしかいないの。一度息子を失ったのに、二度目なんて耐えられない」

そう言うと、母の感情は完全に決壊した。

黒木蓮は根気強く、何度も彼女を宥めた。

長い...

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