第182章 婚約者のふりをする

西園寺美紀が立ち去るのを待ち、西園寺静はようやくアンナに視線を向けた。

「どこか具合でも悪いんですか」

アンナは彼の向かいに腰を下ろし、頬杖をついて流し目を送る。

「西園寺先生、何度も寝た仲なのに、まだ他人のふり?」

「それとも、さっきのかわいい妹さんとの『いいこと』、お邪魔しちゃった?」

アンナは彼を見つめ、面白がって笑った。

静は淡々と答える。

「君が考えているようなことではありません」

兄妹だと知らなければ、恋人同士だと勘違いするところだわ。

アンナはお構いなしに、わざと棘のある言葉を続ける。

「変な勘繰りはしてないわよ。助け船を出してあげたじゃない」

下心のある...

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