第191章 苦悩

雪代梨乃の言葉を聞くや否や、西園寺昴の顔色はみるみるうちに険悪なものへと変わった。彼は奥歯を噛み締め、低い声で唸る。

「雪代梨乃。お前に関係のないことだ。余計な口出しはするな」

その様子を見た雪代梨乃は、滑稽だと言わんばかりに鼻で笑い、冷ややかに言い放つ。

「西園寺昴、確かに私たちは政略結婚かもしれないけれど、忘れないで。あなたの行動一つで、私の立場まで危うくなるのよ。今さら『深情け』なんて、笑わせないでくれる?」

梨乃の言葉は、間違いなく昴の痛いところを突いていた。

「お前には関係ない。自分の立場をわきまえろ。さもないと、婚約を破棄してもいいんだぞ」

昴は憤然と言い放ち、梨乃に...

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