第268章 兄さん、本当に会いたかった

「私……」

 西園寺静は言葉に詰まった。

「じゃあ……」

 静の顔に少し焦りの色が浮かぶ。

「お姉さん、さようなら。お見送りはしませんから」

 西園寺美紀が一歩前に出て、静の腕にしっかりと抱きついた。まるで主導権を主張するかのように。

「西園寺美紀!」

 静の顔が少し険しくなった。

「お兄ちゃん、怒らないでよ!」

 美紀は可哀想な目で静を見つめ、甘えるような態度をとった。

「ゆっくりご機嫌取りでもしてなさい。私は行くわ」

 アンナは背を向けて立ち去った。

「美紀、いい加減にしろ」

 静は後を追おうとしたが、美紀に強く引っ張られて止められた。

「お兄ちゃん!」

 ...

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