第284章 息子じゃあるまいし

神田家の別荘。

神田隆明はソファに深く腰を下ろし、スマートフォンの画面をじっと見つめていた。

その顔には何の感情も浮かんでいない。

たかが娘一人。

もし目を覚まさないのであれば、何の役にも立たない出来損ないになる可能性が高い。

喜ぶべきことなど、何一つないのだ……。

画面を見つめたまま一向に返信しようとしない隆明のスマートフォンに、年村リリからの着信がポップアップした。

隆明は一切の躊躇なく、即座に通話を切る。

「隆明さん、きっと忙しいのね」

「そうよ、絶対に忙しいはずだわ」

……

年村リリはスマートフォンを握りしめ、そう自分に言い聞かせるように呟いた。

一方、黒木家...

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