第290章 彼女を探すな

「黒木様、ご安心を。凛は今、私と一緒にいますから」

アンナは電話口で告げた。

少し間を置いてから、彼女は言葉を継ぐ。

「ただ、凛は少し気が立っていて。しばらくは彼女に会いに来ないでほしいとのことです。一人で静かに過ごしたいと……」

通話を終えると、アンナは少し呆れたような表情で白石凛を見やった。

「あんたって本当に素直じゃないわね。黒木蓮のことが好きなのに……」

白石凛は意地を張るように首を横に振った。

「だから何だって言うの?」

この世界に、すべてが思い通りにいく完璧な出来事なんてそうそうあるわけがない。

自分が愛した人が、必ずしも自分を愛してくれるとは限らないのだ。

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