第157章 養虎の患いに用心

電話越しの熱意は唐突に途絶えた。町井美喜はまるで首を締め上げられたかのように数秒絶句した後、突然、金切り声を張り上げた。

「なんですって? 断る? 綾瀬有美、自分が何を言っているのか分かってるの!? お母さんはあなたのためを思って言ってるのよ! あなたの将来のためにレールを敷いてあげようとしてるんじゃない! 綾瀬美月の下で働いていて、一体どんな出世が見込めるっていうの? 一生あの子の影に隠れて生きるつもり? 給料はいくら貰ってるの? あの子があなた自身のスタジオを用意してくれるとでも?」

「いりません!」

綾瀬有美の声にも感情が滲んだ。

「そんなやり方で敷かれたレールなんて、私は欲し...

ログインして続きを読む