第170章 氷室龍一には全く釣り合わない

「いい、武。あんたの物を奪おうとする奴がいたら、容赦なく叩きのめしてやりなさい! 思い知らせてやるのよ!」

まだ幼い柴門武は、母の熱烈なキスに少し戸惑っていたが、「叩きのめす」という言葉を聞いた瞬間、その瞳には年齢にそぐわない興奮と模倣の欲求が走り、彼は力強く頷いた。

息子を見つめる佐京幸子の胸中では、ドス黒い怒りの炎が燃え盛っていた。

夫である柴門温樹との結婚は、家柄からすればいわゆる「玉の輿」だった。ようやく授かった息子に、実父である名工・佐京潤の技術をすべて継承させたい。そうすれば、柴門家での自分の立場も盤石になるはずだった。

それなのに、あの頑固親父ときたら。「武はまだ幼い」...

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