第334章 逃亡

このクズ男!

生かしておいてやるつもりだったのに。綾瀬美月だけを殺すつもりだったのに。

こうなってしまった以上、綾瀬美月に指一本触れられないのなら、桐島蓮、あんたが死ねばいい!

鋭い針先が皮膚を突き破り、氷のように冷たい液体が一瞬で体内へと押し込まれた。

桐島蓮の身体がビクンと強張り、瞳孔が急激に開く。信じられないといった様子で、自身の首筋に刺さった小さな注射器へ視線を落とし、そして目の前で狂気に満ちた会心の笑みを浮かべる岡林時子を見た。

「うっ……」

彼は手を離し、よろめきながら後ずさりした。注射器を引き抜こうとするが、指先が制御を失いカタカタと震え始める。

すっかり体勢を立...

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