第336章 彼女は今や昔とは違う

喪服の黒に身を包んだ綾瀬美月は、表情こそ穏やかで所作も端正だった。けれど、その瞳の奥には、すべてを見透かしてなお揺れない淡い冷たさが沈んでいる。

彼女は氷室龍一の過剰な付き添いや手助けを受けようとせず、ほとんどの手続きを自分ひとりでやり通した。

龍一も、彼女の気持ちは痛いほど分かっている。安全確保に必要最低限の人員だけを配置し、自分は少し離れたところから、言葉少なに見守っていた。

葬儀の参列者は予想以上に多かった。だが、桐島蓮のために本当に涙を落とす者は――驚くほど少ない。

むしろ目立ったのは、商界の顔ぶれだ。

視線の矛先は、祭壇ではなく美月に向けられていた。彼女の背後にある氷室龍...

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