第340章 紛争

当選の歓喜と、婚期を公にした甘い余韻がまだ胸の奥に残る中、氷室龍一は次なる「ずっと引っかかっていた案件」へ視線を移した。――綾瀬美月が綾瀬家で受け取るべき遺産の件だ。

彼にとってそれは、ただの金の問題ではない。信義と正義の問題だった。

愛する人を踏みにじった連中が、いまなお何食わぬ顔でのうのうと生き、しかも本来なら手にできない果実を味わっているかもしれない。そんな現実を、氷室龍一は許せなかった。

氷室龍一の指示と資金、そして人脈の後ろ盾を受け、精鋭弁護士だけで編成された専門チームが水面下で立ち上がる。狙いは綾瀬和延、そして彼が掌握する綾瀬氏関連の事業体そのもの。

綾瀬家の過去の財務状...

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