第78章 宴に赴く

綾瀬美月は、通話終了ボタンをタップしようとした指をぴたりと止めた。

「江口和延さんだよ! 亡くなったお父さんの一番の親友じゃないか。小さい頃、あんなに可愛がってもらってたでしょ? ほとんど親代わりみたいなものだったじゃない!」

叔母はまるで救いの藁でも掴んだかのように、早口で捲し立てた。

「ずっと海外にいらしたんだけど、やっと帰国されて、美月ちゃんに会いたいってご指名が入ったのよ! お父さんが亡くなって、今や本当の叔父様みたいなものじゃない。会いたくないの?」

江口和延……。

その名は鍵となって、綾瀬美月の記憶の扉を一気に押し開けた。

いつも豪快に笑っていた人。

彼女を肩車して...

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