第79章 彼らはもう離婚した

「少しは覚えているかな……」

「あの頃、君はたくさんの絵を描いていてね。いくつかは君のお父さんが宝物のようにしまっていたんだ」江口和延は懐かしそうに目を細めて笑った。「その後、私は海外へ渡ったが、事業に失敗して辛い時期もあった。ある時、古い荷物を整理していたら、君のお父さんが送ってくれた君の絵が出てきてね。当時はただ子供らしくて可愛い、懐かしい思い出だと思っていた。だがその後、再起をかけてアパレル貿易を始めた時、ふとまたその絵を目にして……そこにある要素に、不思議な霊性を感じたんだ。試しに新しく立ち上げたブランドに取り入れてみた」

彼はファイルのブランドカタログを指差した。

「見てごら...

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