第82章 彼の脆さ

桐島蓮が来たのか?

なぜ、私がここにいるとわかったのだろう?

いや、違う。彼は私を訪ねてきたものの、留守だと気づき、もう帰宅して家の中にいるのだと思って荷物を置いていったのだろう。

綾瀬美月は腰をかがめてバッグを拾い上げ、中身を確認した。物はすべて揃っている。

スマートフォンを取り出すと、案の定、桐島蓮からの未読メッセージが入っていた。

【荷物はドアの前に置いた】

送信時間は三十分前だ。

綾瀬美月は携帯を握りしめ、複雑な心境に陥った。

もし桐島蓮がそのままドアをノックし続けていたら、あるいは直接電話をかけていたら、私が自宅におらず、向かいの部屋にいることがばれてしまっていたの...

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