第11章 下手すぎる

髙野拓海は彼女の手をこじ開け、ドアを開けて車を降りた。

「俺はまだ離婚していない。結婚中に不貞をするつもりもない」

バン、と容赦なくドアが閉まる音が響く。髙野拓海は運転席へ回り込み、エンジンをかけた。

林谷由佳は男の背中を睨みつけ、苛立ちまぎれに抱き枕を掴むと、車内へ向かって投げつけた。

――ムカつく!

髙野拓海って、もしかして本当にダメなんじゃ……?

十分後、車はリバー・レジデンスへ入り、別荘の前でゆっくりと停まった。

リバー・レジデンスは彼の名義の不動産のひとつだ。芽衣との新居ではない。執事や使用人を置いてあるのは新居だけで、それ以外は基本、空き家同然だった。

書斎。

...

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