第45章 幼少期

その頃、髙野家。

髙野拓海が帰宅し、二階の寝室前を通りかかった時、昨日の芽衣の不自然さが脳裏をよぎった。胸の奥に居座った疑念が、どうしても散ってくれない。

高橋大和に渡された封筒。芽衣はあれを、手のひらが白くなるほど握りしめ、逃げるように隠した。何を聞いても、口を割らなかった。

子どもの頃の変な写真程度で、あそこまで取り乱すだろうか。

様子を見ようとした髙野拓海は、そこで足を止めた。家の中が――不気味なほど静かだ。芽衣の気配がない。

視線がふと壁際へ落ちる。絨毯の端、隅に薄い封筒がひっそりと転がっていた。

高橋大和が渡した、あの封筒。

本来なら他人の私物に手を伸ばすべきではない...

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