第53章 再出発

高橋大和は冷たい手錠で手首を締め上げられ、警官二人に左右から腕をがっちり押さえられていた。

足元はふらつき、引きずられるように会場の外へ連れていかれる。首筋に青筋を浮かべ、血走った目で芽衣を睨みつけるその視線は、毒を含んだ飢えた狼そのものだった。

「このクズが! 化けて出てもお前を許さねえ!」

芽衣の瞳は一片も揺れない。余計な表情すら、もう彼に与える気はなかった。

悪事を重ね、因果応報で転げ落ちた人間に、これ以上の感情などもったいない。

高橋大和の怒号は次第に遠ざかり、やがて会場の外で途切れた。

一方、林谷誠子は全身を篩のように震わせていた。高価で仕立てのいいドレスは皺だらけ、丹...

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