第8章 お前はいったい誰だ?

芽衣は眉をひそめ、身体を奥へとずらして、相手にする気もなくそっぽを向いた。

だが男は立ち去るどころか、図々しく芽衣の肩に手を回してきた。

芽衣は弾かれたように立ち上がり、その手を乱暴に振り払う。

「触らないで!」

男は鼻で嗤い、指を突きつけたまま酒臭い息で吐き捨てた。

「クソ女! いい顔させといて調子に乗りやがって……覚えとけよ!」

酒が回っているせいもあって心臓が飛び出しそうだった。男の背中が人混みに紛れて消えていくのを見届けて、ようやく少しだけ息がつける。

芽衣はテーブルに残っていたグラス半分の酒を一気にあおり、立ち上がった。

……ふらり。

足元がぐにゃりと歪む。身体の...

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