第15章 未来のお義兄さんと話す

相馬寧は足を止め、振り返った。

廊下には人っ子ひとりいない。夏目茉莉の表情は取り繕う気配もなく、ひどく複雑だった。

得意げな色。怒り。そして――言葉にしづらい何か。相馬寧には、それが何なのか判然としない。

「……何か用?」

「出ていくなら、もう二度と戻ってこないで!」夏目茉莉は命令口調で言い放つ。「蒼河兄さんは、私のものよ」

「なーんだ、それだけ?」相馬寧は呆れたように笑った。「安心して。戻らないから。お幸せに」

言葉はあまりにも軽い。夏目茉莉の存在など、最初から視界に入っていないみたいに。

エレベーターへ乗り込み、扉が閉まる、その瞬間。

相馬寧の目に、夏目茉莉の顔をかすめた...

ログインして続きを読む