第20章 補償

凱は少し意外そうな顔をしたが、言われた通りにした。

凱が立ち去ったあとも、古沢信弘はその場に立ったまま、宴会場の入り口へ視線を向けていた。

人の出入りはひっきりなしに続いている。けれど、あの黒い背中はもうどこにもなかった。

ふいに、今夜のパーティーがひどく退屈に思えてくる。酒の味まで、さっきほどよく感じられない。

今までは、こんなふうに思ったことなどなかったのに。

なのに今夜は――どこか、何かが足りない気がした。

……

そのころ、相馬寧と星野伊希はすでに家へ戻っていた。

相馬寧がドレスを脱ぎ終えたところで、ちょうど星野伊希が頼んでいたデリバリーも届く。

「ほらほら、もう嫌な...

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