第26章 元ボスに会いに行く

床に倒れ込む寸前、横合いから伸びてきた腕が、彼女の腰を確かに抱きとめた。

次の瞬間、相馬寧はがっしりした胸元へと落ち、清冽な松の香りがふわりと鼻先をくすぐる。澄んでいて、どこか心地いい匂いだった。

相馬寧が顔を上げると、古沢信弘の眼差しと真正面からぶつかった。深くて、それでいて不思議なほど光を宿した瞳。

心臓が、ぶわっと跳ねた。

喉の奥までせり上がってくるみたいに、鼓動が急に速くなる。

――近い。

近すぎる。

相馬寧は、古沢信弘の目の奥に一瞬だけ走った“なにか”まで見えてしまった。

古沢信弘の呼吸が、わずかに詰まる。

腕の中の女は驚くほど軽く、腰は指を回せば折れてしまいそう...

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