第64章 進退両難

当初、守屋蒼河は夏目茉莉に約束していた。何があっても必ず相馬寧と離婚し、自分は茉莉だけを娶る。二人で仲良く、穏やかに暮らしていくのだと。

――けれど今になって、守屋蒼河はふと、後悔の影を落とし始めていた。

夏目茉莉と結婚すること自体は構わない。だが、相馬寧まで手放したくない。

何より、自分と相馬寧は長い時間をかけて、遠回りしながらもここまで一緒に来た。積み重ねてきたものの重さが、夏目茉莉とは比べものにならない。

それに――夏目茉莉と一緒にいる理由は、夏目家の「資源」だ。愛情かと言われれば、正直、そこまでではない。

こんな状況で相馬寧が本当に離れていけば、彼女はきっと古沢信弘のところ...

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