第9章
野田潤は母が淹れ直してくれた新しいお茶を飲み干したが、その指はまだ微かに震えていた。居間の空気はますます奇妙なものになっていき、私には藤堂心乃とその取り巻き連中が、最初の余裕を次第に失っていくのが感じられた。
石川力はそれまで傲慢な態度を保っていたが、この瞬間、突如として落ち着きをなくした。彼の視線は頻繁に隅にあるいくつかの和紙の包みへと彷徨い、眉をきつく顰めて、何かを聴き取ろうとしているかのようだった。
「お前ら、何か音が聞こえないか……」
石川力は突然口を開いた。その声は普段よりワントーン高い。
「あの和紙の包みの中からだ、ずっと沙沙と音がしてて……」
全員の視線が彼に...
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