第49章

一ノ瀬本邸は、明るい笑い声に包まれていた。

煌々と明かりが灯り、キッチンからは食欲をそそる料理の匂いが漂ってくる。

相沢千尋が最近ここに滞在しているおかげで、一ノ瀬源造の機嫌はすこぶる良かった。

その影響か、万年仏頂面だった執事の表情もいくぶん和らぎ、見違えるほど穏やかな笑みを浮かべている。

一ノ瀬律が帰宅して目にしたのは、そんな和気あいあいとした光景だった。

なぜか、心身に溜まっていた疲労がすっと洗い流されたような気がした。

彼の眼差しは自然と和らぐ。視線の先では、相沢千尋がおどけて見せ、祖父を笑わせていた。

「お前、まだ帰る家があったのか!」

一ノ瀬律の姿を視界の端に捉え...

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