第36章 1億1千万の最終入札価格

林田ナナはパソコンを閉じ、明日目が覚めたら、結果を確認しようと決めた。

「ママ?」

空が戸口に立ち、顔を覗かせた。食事を終えると、ママが急いで階段を上がるのを見ていた。専門店で辛い思いをしたことでまだ落ち込んでいるのかと思ったが、顔を半分ほど覗かせると、「へへへ」という林田ナナの笑い声が聞こえてきた。

「ママ……」空は初めて林田ナナがこんな笑い方をするのを聞いた。

「空?」林田ナナは彼をぎゅっと抱きしめた。「お風呂入った?」

「入ったよ!」

「え?」林田ナナは驚いた様子で、「誰が洗ってくれたの?」

空は得意げに言った。「自分で洗ったんだ」佐藤光の言う通り、彼は七歳になったのだか...

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