第38章 夫婦を演じる

皇朝ホテル。マイバッハが正面玄関に停車した。

ドアマンが近づき、車のドアを開けた。

佐藤光は寒を抱いて車から降り、林田ナナは空の手を引いて玄関に向かったが、すぐにドアマンに止められた。

「失礼ですが、どちら様...」ドアマンは佐藤光を見た途端、彼から放たれるオーラに圧倒された。

佐藤光が林田ナナを見つめると、林田ナナはすぐさま言った。「林田城の宴会に参加するために来ました。誕生祝いです」

「あぁ、林田様のご親戚やお友達でしたか!」ドアマンは言った。「林田様は『紫気東来の間』で十卓ほど用意されております。こちらへどうぞ」

ドアマンは丁重に彼らを中へ案内した。

突然、空が慎重に林田...

ログインして続きを読む