第59章 重要な証拠

話さなかったため、事件の詳細な経緯は知るよしもなかった。

吉崎奥さんは息子がわざとやったとは信じていなかった。彼はまだ七歳で、八歳の誕生日さえ迎えていないのだから。

おそらく、二人の子供がプールで遊んでいて、手が滑って寒を押してしまったのかもしれない……

あるいは、二人が水に入って遊ぼうとしたところ、寒が足を滑らせて水に落ちるのを見た吉崎茂が、怖くなって逃げ帰り、誰にも言わなかったのかもしれない。

とにかく、七歳の息子が悪意を持って、人を水に突き落とすような天に背く行為をするはずがないと固く信じていた。

だから、吉崎奥さんが隠し立てをするのは当然のことだった。

この夜、夜明けまで...

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